私はこの人のブログを読んだことがあって、その時に衝撃を受けました。
その後本屋さんで文庫本が出てるのを見て、急いで図書館で借りました。
普段生活していると、この「特殊清掃」とはきっと縁のない生活。
だけど、自殺者や孤独死が社会問題として取り上げられることを考えると、私の知らない所でこうやって働いている人もたくさんいるんだろうって思いました。
私は、この人の書く文章がたぶん好き。ブログも本も読みやすい。
私にとってかなり非日常的で、少し怖いとさえ思う”特殊清掃”のことを、彼からなら聞きたい・・・知りたいって思います。
とても淡々と語る著者だけど、時にその人生観を語ります。
それはきっとたくさんの死を見て感じてきた彼だからこそ伝える事ができる言葉だと思います。著者は作中で、
”愛する家族も仲のいい友人も、そして、自分自身も当たり前に存在しているのではない。
縁起でもないことを言うようだけど、次に会える保証はどこにもない。
だから、伝えるべきことは後回しにしないで、
今、伝えたほうがいいのではないだろうか。
人の幸福は、そんなところから生まれるものだと思うから。”
と綴っているのですが、それが凄く胸に刺さりました。
明日私が当たり前に存在しているかどうかなんて分からない。
それは私の周りの人だって同じ。
そんな当たり前のことを、彼の言葉で再確認させられました。
死ぬこと・・・私の年を考えるとまだ少し遠いような気がしてしまうけれど、そんなことないんだなって。
色々と考えさせられる良書です。
特別グロテスクな表現等はありません。最後に、私が好きだなと思った言葉です。
”人間もある種の生モノ。
身体はもちろん、精神も腐りやすい。
思い通りにならなかったり、ちょっとイヤなことがあったりしただけですぐ腐る。
なにか、いい防腐剤があればいいのだけれど、そんなものはなかなか見つからない。
唯一、その類のものがあるとすれば、命の限りを知ることかもしれない。”
著者のようなお仕事をしている方が、全国にどれくらいいるか分からないけれど尊敬しかありません。(#特掃隊長)