1987年9月、書き下ろし作品として刊行されたそうなので、もう30年以上前の作品なんですね。
寝る前にベッドで読みましたが、上下巻で10日くらいかかりました。
ノルウェイの森 感想
読んだ感想としては、正直.....しんどかった!
”読む”のがしんどかった訳じゃなくて、心がしんどかった。
「これいいよ!」って手放しで人に言える感じじゃないのに、まんまとその世界に引きずり込まれる。
主人公を含め、登場人物の多数が大学生の設定だし、出てくる女性は、なんというかある意味で奔放。
なので、もう大人になってしまった私には、どの人にも感情移入などは出来ないんだけれど、その世界にどっぷり浸かり、その情景がハッキリと頭に浮かぶ。
これは官能小説なのか!?と思うほどの男女の交わりも、「生きる」ことを表す大切な描写なのかな...と。
人の温もりを感じる事は自分が「生きてる」ってことをより感じるのかもしれない。
私は、ミドリの事を受け入れるのが難しかったんだけれど、読み終えるとナオコはやはり「暗」でミドリは「明」。
それが「生きていく」と心に決めているワタナベにとって、ミドリがとても魅力的に感じた理由なのかな。
”死は生の対極としてではなく、その一部として存在している”
凄く難しいけれど、「死」を感じた時に初めて「生」を感じる。
その逆も然り。
ワタナベの周りの一見個性的に見える人々は、決して特別なわけではないのかもしれません。
しかし取り巻く環境や、心の持ちよう、それぞれのキャパで、みなそれぞれの人生を歩んでいく。
そして、その歩む道もなんら特別なわけではない。
それは、悲しい最期の人々の人生さえも。 (#村上春樹)