私が尊敬する職業の1つ「特殊清掃」。
特殊清掃に関する本は今までにも何冊か読んだことがあるけれど、業務内容は特殊で嫌悪感さえ覚える可能性もあるのに、なぜかどの本も温かい。
この本の著者もとても優しく温かい。
ただ、今まで読んだ本と違っていたのは、この本の著者が若い女の子だということ。
それにはとても驚いた。
きっと、私などの想像の100倍くらい厳しい現場だと思う。
なのに....もうその部屋にはいない故人をいつも想っている。
そんな気持ちが著者にミニチュアを作らせたんだと思う。
そこにいた人は、決して特別ではないんだよ、と。
現場を模した模型は、日常とはあまりにもかけ離れた光景でリアル。
思わず息を止めてしまいそうなほどに。
だけどどことなく切なさも感じる。
それはきっと、実際に現場で作業をしている方が作っているからだと思う。
ペットと暮らしていて孤独死した人、
身内と絶縁状態で孤独死した人、
家族と離れて暮らし孤独死した人、
自死を選んだ人...
なんとなく、今の時代は病院で亡くなるというのが"普通"だと思っていた。
でも、自分の知らないところで誰にも気づかれることなくひっそりと亡くなり、時間が経過してしまったお部屋をまたひっそりと掃除している方々がいるというのが、なんとも言えない気持ちになる。
孤独死とは決して1人で亡くなってしまった(亡くなるときに一人だった)ことではなく、その後誰にも発見されず時間が経過してしまったということ。
このご時世、1人で亡くなる(亡くなるときに1人)のは、家族構成やその人の生きる環境によってある程度しょうがない。
私だって今は家族がいるけれど、将来亡くなるときは一人かもしれない。
離れて暮らす母も、亡くなるときは一人かもしれない。
でも自分も、家族も亡くなった後は早く見つけてほしいし、見つけてあげたい。
そのためには他人任せではなく、自分自身がしっかりと準備しておかないといけないと思った。
この本が、そういうことを家族で話し合うきっかけになったらいいと思った。
そのためにも、たくさんの人に読んでほしい1冊。(#小島美羽
)
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