1947年に出版されたアルベール カミュの小説の漫画版です。
原作は難しいと聞いたことがあるので漫画版を購入したのですが...漫画版でも少し難しい。
難しいというか「読み取る力」が必要だと感じました。(きっと、長編小説を短い漫画にまとめているため、そう感じたのだと思います。)
漫画ペスト 感想
アルジェリアのオラン市で突如発生した謎の伝染病。
どんどん増えていく犠牲者。最初はその死者は「数」だったけれど、だんだんと身近の人々が亡くなり、病気が自分に近づいてくる恐怖。
港や町は閉鎖され、一時的にこの街に滞在していた人たちも閉じ込められてしまう。
70年以上前に書かれたとは思えないほど、現在の新型コロナウィルスのパンデミックとよく似ています。
第一線で治療にあたる医師たち、「ペスト」であることを公表するのをためらう政治家や医師会(のようなもの)、デマに振り回されたり、暴動を起こす輩、それでも助け合い乗り越えようとする人々...いつの時代も全く変わらない。
目の前で亡くなっていく患者を見て、自分たちは何もコントロールできない、人生の不条理は避けられないと思いながらも、第一線で病と戦う医師の姿も...きっと変わらない。本当に尊敬に値する姿だと感じました。
漫画版では「現代→原作の漫画家→現代」という構成になっているのですが、個人的には現代部分は不要だと感じました。
小説から様々な事柄がカットされているので、原作の代わりに読むというよりは、ノーベル賞受賞作家の名著のあらすじを漫画で読める、という感じです。
最近ではコロナの流行も落ち着き、少し以前の日常を取り戻しつつある...と私は感じているのですが、
このコロナに対する感覚は本当に人それぞれで、私を担当してくれている美容師さんの息子さんは、コロナノイローゼのようになっているそうです。
高校生なのですが、コロナが心配で学校に行きたくないと言い始め...なんとかなだめていかせているそうですが、感染が怖くて公共交通機関に乗れないので毎日親が車で送迎しています。
その送迎中の車も窓を全開にして、その横をマスクせずに自転車に乗っている人が通ったら
「あの人がコロナだったら、俺感染したかも...」
と本気で悩み、毎日20枚近くのマスクを消費しているそうです。
そして、そんな毎日を送っていると最近ではコロナ以外の様々なことにも不安を感じ始めたそうです。
忘れ物や家の鍵や電気を消したかなど、何度も何度も確認するそうで...親である美容師さんも心配していました。
様々なところにたくさんの影響を与えてしまったパンデミック。
『ペスト』のように、このまま収束していってくれたらいいな...と本当に思います。
原作(翻訳)はこちら...