昨今少しずつ聞かれるようになった「ヤングケアラー」。
ヤングケアラーとは、家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子どものことです。
最近では、芸人の平成ノブシコブシの徳井さんが、ご自身がヤングケアラーだったことを発信しています。
私だけ年を取っているみたいだ 感想
医療系コミックで累計25万部の著者が、2年以上の当事者取材から描きおろしたコミックエッセイです。
主人公のゆいは、統合失調症の母、家庭に無関心な父、特別扱いされる弟、 認知症の祖父と暮らしています。
ゆいは幼稚園のころから、買い物・料理・ そうじ・洗濯など家族の世話を一手に担っているヤングケアラー。
個人の特定を防ぐために複数人の体験を1つの物語にしているそうですが、1つ1つの出来事は実際のエピソードだそうです。
読んでいると胸が苦しくなります。
親とはいったいなんなんだろう...と思います。
親が精神疾患というだけで、子供は本当に大変だと思います。(親も好きで精神疾患を患っているわけでないのが厄介で難しい。)
統合失調症は100人に1人の割合と言われているので、誰がいつ発症してもおかしくないわけで。
実際、私の中学校の同級生の母親は(統合失調症かどうかは分からないけれど)精神疾患を患っていて、家は酷いゴミ屋敷でした。
そして同じく父親は、とにかく家族に無関心でした。
この本の中で、学校の保健室の先生が「おかしい」と気づいて教頭に相談するのですが....厄介ごとが面倒なので「家庭の事に口を出すな」と言われてしまう描写があります。
酷いなぁ...ともちろん思うけれど、虐待や宗教2世問題なども同じで、結局「家庭」の中で起こっていることに外部が介入していくって、本当に難しいしどうしたらいいんだろう?と思います。
大人になり自分で収入を得ることが出来るようになれば、家族なんて捨ててしまえばいいと思います。
ただそれまでは、現実的に子供自身が解決することは難しい。
ヤングケアラーになってしまうという事は、家族の中に「まともない大人」がいないということなので、やっぱりとにかく外に助けを求めるということが大切なんだろうと思います。
作中でも、学校は助けてくれなかったけれど他に助けてくれる(サポートしてくれる)人が現れました。
だから当事者が声をあげる、そして周囲の「まともな大人」たちが気づき、親子共に支援につなげていくことが大事なんだろうなと思います。
主人公ゆいは、苦しみながらも自分の力で自分の人生を切り開いていきます。
その姿は、今ヤングケアラーの子、かつてヤングケアラーだった人の希望かもしれないなと思いました。
もし自分自身が、周りの子が、近所の子が...ヤングケアラーかもしれないと思ったら、ぜひ外部に相談してみてください。
一人で抱え込む子供がいなくなりますように。
(#水谷緑 #生き方のヒント #家族の話)