言わずとも知れたアンパンマンの作者、やなせたかしさんの本。
私がこの本を手に取ったのは、亡くなってから数日後。
本書には、やなせさんの幼少のころの話、上京してからの話、手塚治虫さんと一緒に仕事をした話、アンパンマン誕生のきっかけ、そしてやなせさんの思う「正義」について書かれています。
文中に、やなせさんの想う「正義」を現した印象的な言葉がありました。
ほんとうの正義というのは、けっしてかっこいいものではないし、そしてそのためにかならず自分も深く傷つくものです。
正義のための戦いなんてどこにもないのです。
正義はある日突然逆転する。逆転しない正義は献身と愛です。
私なんぞに正義を語る事なんてできないけれど、...でも、なんとなく分かる。
戦争をしている国だって、お互い「自分が正義だ」と声高らかに叫ぶ。あの悪を倒してやる、と勇ましく戦う。
だけど、きっとそれを正義と呼んではいけないんだろう。
正義のための戦争なんてきっとないんだろう。
アンパンマンはカッコ悪い正義の味方。
でも、それは誰しもがヒーローになれるということ。
大きな国を救うことは出来なくても、目の前の困っている人に手を差し伸べられる大人でありたいと思います。
後半が特に心に響く本でした。
ぜひいろんな人に読んで頂きたいです。
決して押しつけがましくもなく、説教臭くもなく、やなせさんの人柄がにじみ出る1冊でした。
花火も花も、とてもきれいだけれど、花火が空に張り付いたままだときっと美しいと思わなくなる。
花が枯れずにずっとそこに咲いていると、咲いている事さえあたりまえになってしまう。
期限があるから...終わりがあるから、その美しさや喜びは、輝きを増すんだろう。
それは、きっと人生も一緒。
楽しく、素敵な時間がずっと続くわけじゃない。
大きな花火の後は、暗闇をより暗く感じるかもしれない。
だけどその暗闇は、次の花火をより大きく美しく見せてくれるのではないかと思います。(#やなせたかし)