タイトル通り、夜しか開かない精神科「アウルクリニック」の院長先生が著者の本です。
「夜しか開かない〇〇」は薬局、動物病院、救急病院などなど色々とメディア等で見たことがありますが、
そのすべてに共通していることは”熱い思いを持っている”ということ。
この著者も例外ではありませんでした。
特に驚いたのは、ご自身も病気の後遺症で左半身の麻痺があるにもかかわらず、通勤往復3時間かけて昼間は常勤で働き、その後この「アウルクリニック」で診療しているということ。
まだ若い先生だとは言え、少し心配になります。
しかしこの先生には、そんな心配など吹き飛ばしてしまうような明るさや前向きさがあります。
本書には、そんな先生の想いと実際の症例が書かれています。(場所柄、夜のお仕事の方も多いです。)
「精神科」と聞くと、もう日常生活が送れないほど限界になって掛かる病院...というイメージでしたが、
先生曰く日本ももっと気軽に「ん~、ちょっとおかしいかな」くらいで、受診できるようになるのが理想だと。
よく考えたらそうだよね。
風邪だって初期に対処したほうが早く良くなるし、もっと気軽に受診できる風潮になるだけで、救われる人も増えるような気がします。
そしてカウンセリングももっと敷居が低くなったらいいと思う。
友達はもちろん、美容室や整体などに行って話を聞いてもらったりするだけで、なんとなく心が軽くなるときってあるから。
先日、医療従事者になりたい娘が、地元の精神科の先生の講演を聞く機会がありました。
そこでも同じように「精神科の敷居を低くしたい」と言っていたらしい。
そして、中規模以上の精神科の入院患者というのは、現在は認知症の患者さんがとても多いとのことでした。それもまた驚き。
「認知症の人は家族が看れない場合は施設に入る」と勝手に思っていましたが、暴力的だったり、徘徊がひどい場合には精神科に入院することもあるそうです。
確かにそうなると、普通の施設では難しいですもんね...。
著者の言うように、「ちょっと疲れたんで、スタバ行ってくるわ」くらい気軽に
「ちょっと調子悪いんで精神科行ってくるわ」って言える、
そしてそれを「あ、うん分かった~」と受け入れる世の中になったらいいな。
誰にも言えずに限界になって潰れてしまう人が、1人でも少なくなるように。
(#片上徹也)
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