驚きのタイトルですよね。独特なネーミングセンスだと思います。
ただ、そのおセンスのおかげで、年頃の娘がいる我が家の本棚には並べる事が出来ず、電子書籍にて購入しました。
夫のちんぽが入らない 感想
夫のちんぽが入らないのは、この夫婦にとっての1つの問題...というか1つの”事実”であって、その他に様々なことが起こります。
でも、それはこの2人に限ったことではなく誰にだって起こり得ること。
それなのに、どうしてこんなことになってしまうのだろう...とモヤモヤしたり、イライラしたりするというレビューも見ました。
そういう意見もわかる。
わかるんだけど、同じ出来事が起こったとしても、その対処の仕方はさまざまで、感じ方や許容量もみんな違う。
そして、育ってきた環境も、生まれ持った性格だって違うから。
だから、彼女がもがき苦しみ悲しんで...それでも前を向いて歩いて行こうとする姿を応援したくなりました。
ただ途中、なんでそうなった!?ってくらい堕ちていくので、せっかくパートナーがいるんだから、もう少しお互い支え合えたらよかったのに、と思いましたが、それは私の価値観の押し付けであって、それがそもそも2人の距離感だったんだろうなと思います。
若い男女が恋に落ち、結婚し、子供を授かることや、毎日普通に仕事をすること。
そして夫のちんぽがはいること。
たくさんの人が「普通」だと思うことは決して普通のことではないこと。
そしてその「普通」に縛られなくてもよいこと、それぞれの幸せがあること...そんなことを想うお話でした。
真っ暗闇から、光の差す方へ向かう道のりはとても苦しく険しいものだけれど、経験しなければ分からなかった・感じなかったことがあるという事が書かれている、私には救いのある話に思えました。
「さっさと病院に行けばいい」とか「結局解決していない」とか「お互いの性への逃げ方が気持ち悪い」とか、そんなレビューが多くて、なんだか胸が痛かったけれど・・・
人間ってそんなに”キレイナモノ”なのかしら?
作者の行為を簡単に浮気だとか不倫だとか、そういう言葉で片付けて非難することは簡単だけれど、本当にそういうものなのかしら?
アルコール、リストカット、買い物・・・そしてSEX。
何かに依存してしまった経験は私にはありませんが、一つ何かが”ずれる”だけで、心が壊れていき、依存症と言われる状態になってしまうことって、実は誰にでも可能性があると思うのです。
そこから何とか抜け出そうともがき苦しむことも、”生きる”ということなんだと思います。
「さわやかな読後」とか「美しい人生」とか、そういうものとは無縁かもしれませんが、ただただ人間臭く、少し胸が痛くなるような、とある”入らない夫婦”の物語でした。(#こだま)