自分自身が使用したことがないのははもちろんのこと、40年以上生きてきてドラッグ(違法薬物)を使用している人に出会ったことがありません。
だから私自身、ドラッグに興味があったからこの本を読んだ...とかでは全くありません。(むしろドラッグは絶対ダメ!だと強く思っています。)
ではなぜこの本を手に取ったのか...?
それは、この本の作者、草下シンヤ氏に興味があったから。
youtubeチャンネル「裏社会ジャーニー」で草下シンヤ氏を知ったのですが、現在の作者は、一見とても穏やかで本当に普通。(むしろ好青年のようなルックス。)
それなのに裏社会に精通し、様々なドラッグを経験していた過去があると知り、そのギャップに驚き、この作者のことを知りたいと思ったのでした。
実録 ドラッグ・リポート 感想
本を読んで1番思った事は...作者は思ったよりジャンキーだった。(現在の姿しか知らない私は少しショックだった。)
たくさんの種類のドラッグに手を出していて、しかも「経験がある」という感じではなく、割と「常習者」。
約20年前の本ではあるが、こんなに赤裸々に書いて大丈夫?と思うほど、実際にそのドラッグを使った状況や感想・周りの人の様子などが書かれている。
ただ、そこらへんはドラッグに全く興味のない私にとっては、正直どうでもいいかな...という内容だった。
しかし、違法薬物に縁がなかった私が知らないだけで、そういったものは意外にもすぐそばにあるのかもしれない...とも思った。
私のイメージでは、薬物使用者は「普通の人」ではなく「反社会的勢力に属している」または「廃人」というイメージ。
まさに「覚せい剤やめますか? それとも人間やめますか?」である。
もちろんそういう人もたくさんいると思うが、周りの人に気づかれず、普通に仕事をし普通に社会生活を送っている人も、もしかしたらたくさんいるのかもしれない。
世の中には「大麻はタバコよりも依存性が低い!」などと、違法薬物としての大麻を肯定する勢力もある。
この本でも「ドラッグなんて良くも悪くも無い」と書かれている。
でも、非使用者の私はどうしても「ドラッグなんて良くも悪くも無い」とは思えない。
やっぱり悪なのではないかと思う。
世の中には(言い方はおかしいが)上手く付き合っている人や、きっちりと辞めれる人もいるのかもしれない。
でも...何度も服役を繰り返したり、やめようと思っても辞められない人、事件を起こす人、それこそ廃人のようになってしまったり、ひどい後遺症と一生付き合っていかなければいけなかったりという人も確実にいる。
実際はそういう人の方が多いのではないのかな?と私は思う。
そして本人だけの問題ではなく、家庭崩壊や大切な人の人生までも台無しにしてしまう。
だから、やはり私は悪だと思う。
この本の刊行当時よりも、ネットやSNSが発達した現在の方が、薬物はより身近になっているのだろう。
昨今では、違法ドラッグだけではなく市販薬の乱用・低年齢化も問題になっている。
多くは人に誘われてとか、好奇心から始まると聞く。
しかし、例え最初は本当に好奇心だったとしても...その後は心の隙間を埋めるように、目の前の苦痛から逃げるように使用を続け、やがて依存症になってしまう人が多いのではないかと思う。
誰だって心の隙間や心の傷はあるし、今が苦しい人はとにかくその苦しさから逃げたいと思うだろうから。
私を含め、薬物にかかわることなく生きてきた人からすれば、薬物使用者は「怖い・かかわりたくない人」だ。
でも、元薬物中毒者が一生懸命頑張ってる姿を見たり、家族が薬物中毒だった人の本を読んだりして思うことは、きっと社会も変わらなければいけない。
服役するだけではきっとダメで、孤独にならないよう、社会復帰がしっかりできるよう家族はもちろんのこと、社会全体でサポートすることがとても大切なんだと思う。
...うん、思う。思うんだよ。
だけど、同時に「社会で受け入れる」なんてことは理想論だろう、とも思ってしまう。
だって、私は「元」だろうと自分の子供を薬物中毒者と関わらせるのは怖いし、自分の職場にそういった人がいたら、警戒してしまうから。
真面目に生きてきた多くの人が「勝手に違法薬物をやって、”薬物中毒”は病気だから社会で回復を支援して受け入れよう!なんて都合がいいこと言ってんじゃないよ!」と思うのもしょうがないよなと思ったりもしてしまう。
だから、やっぱり1番は絶対に手を出さないこと。
未来ある若い人には本当に自分を大切にしてほしい、とただ強く思う事くらいしか、結局私にはできない。
...と特に何の主張もないジャンキーの本を読んだだけなのに、なんか色々と考えさせられました。(私が勝手に考えただけだけれど。)
そして結局、著者の草下シンヤ氏のことはよく分からないまま。
いや...それどころか、やはり今の姿とはかけ離れすぎていて、もっとこの著者について知りたい、と思ったのでした。(#草下シンヤ)
(#草下シンヤ)