ほかの短編集に収録されていた作品や、文芸誌で発表されたものをひとつにした文庫オリジナルの全6話の短編連作集です。(第一話の「旅をあきらめた友と、その母への手紙」は『さいはての彼女』に収録されています。)
解説は阿川佐和子さん。
旅を舞台にした人間ドラマなのですが、作者の原田マハさんにも旅友がいるそうで、実際にマハさんが巡った旅先を舞台にしたフィクション。
旅友と過ごしたなかで感じ取ったことを、小説に落とし込んでいるそうです。
マハさんを思わせるような女性が笑いながら、女友だちと空を見上げる装丁がとても印象的な文庫本です。
ハグとナガラ 感想
主人公ハグは独身のバリキャリ女性。
30代に差し掛かり、付き合っていた彼と結婚し子供に恵まれ、夫婦でバリバリ働いて....と思い描いていたものの人生そんなに思い通りにはいかず挫折を経験。
そんな時に大学の友人だったナガラに誘われて、女2人旅を楽しむようになります。
その旅は日常の疲れを癒してくれるとともに、次の旅まで頑張ろう!という活力も与えてくれます。
長い間、結構ハイペースで旅を楽しむ2人でしたが、自分たちが年を重ねるとともに親も高齢になり.....苦悩したりイライラしたり、自己嫌悪を感じてみたり。
そんな時に救ってくれたのも、旅と友でした。
読後はさわやか。薄めの文庫本なので移動にもおすすめです。
とにかく旅に出たくなる本なので、私は飛行機での移動中に読んだのですが......不覚にも涙が溢れてしばらく止まらなくなってしまいましたのでご注意を。
長く生きていてもいなくても、人生思い通りになんてならないことの方が多い。
だけど.....
「人生を、もっと足掻こう。」
(#原田マハ)