昨年2023年の夏に公開された映画なのに、なぜいまさら...?と思われる方もいると思うけれど...第96回アカデミー賞長編アニメーション映画部門賞受賞記念の凱旋上映をしていたので見てきました。
そのキッカケは、NHKのプロフェッショナル 仕事の流儀 - NHK。
私のお気に入り番組の1つで、もう何年も見続けているこの番組には、過去に何度か宮崎駿監督が出演しています。
それらを見た時は別に何も感じなかったのだけど...先日録画で見た『プロフェッショナル ジブリと宮﨑駿の2399日』に、なんだか物凄く心を揺さぶられたので、非常に遅ればせながら見に行くことにしました。
君たちはどう生きるか 感想
吉野源三郎の同名小説『君たちはどう生きるか』が数年前にヒットしました。
実は私も漫画版をその時に買って読み始めたのですが...途中で挫折。(近いうちに必ず読みなおしたいと思っています。)
この小説が原作とかではなく映画のストーリーにも直接関係はないけれど、宮崎駿監督が小学生のときに教科書に載っていた『君たちはどう生きるか』の冒頭部分に強い印象を受けたとのことで、タイトルを引用しているそうです。
加えて作中で、主人公の少年「眞人(マヒト)」に母が遺した本が、この『君たちはどう生きるか』となっています。
映画を見た人が「よく分からない」とyoutubeで発信したり、映画レビューを書いているのを見て「私もよく分からな~いって言いたい!」と思いながら映画館に足を運びました。
結果、見事によく分かりませんでした。
でも...めちゃくちゃよかった!というのが率直な感想。
そしてジブリ全部盛り!!という感じ。
風景も美しいし、音楽も環境音もいい。
もう...全部いい。
色んな人がいろんなところで考察しているけれど、なんかそういうのがどれも正解ではないような、そんな感じが心地いい。
私はレイトショーで見たのですが、帰宅後も頭の中がグルグルしてしまって、その日はなかなか寝付くことが出来ませんでした。
そして眠りにつくほんの少し前....私が眞人やヒミだとしても、きっとこの美しいろくでもない世界に戻るだろうなと思いました。
昔、現代美術家の大竹伸朗さんの個展を見に行ったことがあります。
見終わったあとにしばらく放心し、高揚し、狂気に飲み込まれてしまいそうになり、上手く言葉で表せられないような感情をしばらく引きずりました。
もちろん『君たちはどう生きるか』とは作風も形態も全く違うのですが...なぜかその時の感情を思い出しました。
そして、あぁ...この映画はアートなんだなと思いました。
だから誰がどう感じてもいいし、それでいてみんなよく分からない。
なんなら、作った宮崎駿監督さえも「私自身、訳が分からないところがありました」と語っているのだから...もうアートなのよ。
『プロフェッショナル ジブリと宮﨑駿の2399日』で見て私がとても心を揺さぶられた、宮崎駿監督の狂気を存分に感じた映画だったような気がします。
私は今までもジブリ作品は大好きでしたが、この映画を通して宮崎駿という「人間」が大好きになりました。
ずっとずっと生きていて欲しいし、ずっとずっと彼が作った映画が見たい...そう思いました。