わたし、シーズン2

読書が趣味の40代主婦。きままな読書感想文を中心に日常を綴っています。家族は、夫と娘と元保護犬の愛犬ミィ。

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『骨を彩る』その闇や悲しみさえも、自分

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タイトルと装画に惹かれました。

 

凄く凄くよかったです。何度も読みたいです。

 

初めて彩瀬まるさんを読みましたが、表現がとても豊かで私の好みでした。

骨を彩る 感想

連作短編集で、登場人物がリンクします。それがまた非常に胸に刺さります。 

 

誰もが心の隅にもっている、暗く黒いもの。そういったものを抱えながら生きる。

 

そしてそれを人には見られたくなくて隠す。

 

でも自分だけで抱えるのは苦しい...そんな風に葛藤しながら、それでも生きる。

 

自分の黒い部分しか見えないときは、自分の骨は黒く濁り、周りの景色さえもモノクロに見える。けれど...それらは、あるふとした瞬間に美しい彩りをまとう。


私は、登場人物の玲子と自分が重なって、凄く苦しかったです。

 

玲子が想う”ばらばらを心の内側に持たない、みずみずしく傷つきやすいものを憎んでいたい気持ちがある”という言葉がとても印象的で、まさに一番苦しかった時の私。

 

私は25歳~35歳くらいの間、ずっとそんな風に思って生きてきた気がします。 

 

人前でも素直に涙を流し、素直に人に心を開き、まぶしいほどに笑っている人たちに対して抱えていた気持ちは、きっとこれだったんだと思う。

 

私の目に映るそんな人々は、みんなに愛されていてとてもみずみずしい。

 

苦しんでいた時は、そんな眩しい人たちにあって、自分にはない...そう欠けている骨を探して、見つからないと苦しく思っていたけれど...

 

きっと、私の骨は足りている。

 

そんな事を想いながら読み終えると、あぁ私はこれでいいんだって。

 

私はこれからも私で生きていく。そんな風に思えた作品でした。

 

そして読み終えた時、私が惹かれたタイトルと装画がより一層素敵に見えました。

 

「骨」がキーワードなのですが、骨...それはその人そのものというか、その人を造っているもの、そんな感じでしょうか。

 

骨とは離れられないように、自分の中の闇からも離れられない。

 

だからこそ、それを含めて自分なのだと、その闇や悲しみさえも、私の大切な骨なのだと気づかされました。

 

どの物語も凄く引き込まれてよかったのですが、私は玲子と小春の物語が凄く好きです。(#彩瀬まる)

 

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