姉とその娘が大阪からやってきた。
三十九歳の姉は豊胸手術を目論んでいる。姪は言葉を発しない。
そして三人の不可思議な夏の三日間が過ぎてゆく。第138回芥川賞受賞作。
乳と卵 感想
独身の"私"と母である巻子、その娘で、思春期まっただ中の緑子の3人の物語。
私自身の母と巻子が重なり、思春期の頃の私と緑子が重なった。
思春期の娘にとって、母親が「女」になること...
それはそれは恐怖で、悍ましい。
そして悍ましいと思っている”目の前の女”に自分の体がどんどん近づいて行くのを、汚らわしく思う。
そういう気持ちがとてもよくわかる。
ドロリとしたこの物語の中に、語り部の「私」がいてくれたことで、緑子は少しでも救われたんじゃないかと思う。
女は大変だ。そしてめんどくさい。
女は生まれる前から、体の中に卵をたくさん持って生まれてくる。
それを「素敵だ」と思える人と思えない人の違いはなんだろう。
色々と思う事はあるけれども、思春期の緑子もいつか...女でよかったと思えるようになって欲しい。
「乳と卵」それは女性を象徴する言葉だなぁと改めて思った。
関西弁が多いので馴染みがない人は少し読みにくいかもしれない。
ネバネバ・・・とした部分もあるけれど、読後は悪くない。そんな1冊だった。
(#川上未映子)
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