ワーカーズ・ダイジェスト 感想
偶然、しかも仕事で会っただけの男女のお話。
津村さんの書くお話は、特にドキドキするような展開もなく、ただ日常を切り取ったようなお話が多いんだけれども、どの作品も心をガッチリと掴まれてしまう。
それはきっと...
毎日繰り返される、つまらなく淡々とした日々、
ふと感じる虚無感、
理不尽な社会に対する諦め、
めんどくさい人間関係。
そんな誰もが感じるであろう感情を時にしんみりと、時に若干コミカルに、時にイラついて、絶妙に表現してくれるから。
登場人物はさしてテンションが高いわけでもなく、目立つ人物でもないんだけれど、人間味あふれる登場人物たちに自分を重ねる。
「頑張ってるのは私だけじゃない!こんな自分も、悪くねーな。さて、明日も頑張って働こう!」
そう思わせてくれる。「頑張ってる自分、とりあえずお疲れ」と思わせてくれる津村喜久子さんの本は、私にとって読み心地がとてもよいのだと思う。(#津村喜久子)
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