飛田新地・・・ご存知ですか?
大阪市西成区の山王3丁目一帯に広がる大正時代に開かれ、日本最大と言われた飛田遊廓の事です。
そこには「料亭」と呼ばれるお店が立ち並びます。
そしてそこにいる女の子(仲居)とお客さんは、店の2階で自由恋愛をします。
働いている女性は、若い女の子から「年金通り」と呼ばれるところで働くベテランさんまで。
この本は、この飛田新地の料亭の元経営者がつづった人間ドキュメントです。(この本の前に「飛田で生きる」があります。)
正直、女性にとってこのような場所は馴染みがないというか、どこか別世界のように感じませんか?
私もそう感じていました。
だけど、そこで働いている人こそ女性なんですよね。
それは、なんとも言えない気持ちになります。
本書では6人の女の子が出てきます。
年も境遇も、飛田で働く理由もさまざま。
そしてそこは、女の憎悪が渦巻く悲しい場所に感じました。
女の子達のプライバシーへの配慮として、多少のフェイクが入っているとは思うのですが、
普通に結婚していたけれど、子供ができない事が原因で離婚し、その後飛田で働くという子
母親もまた飛田で働いていた...という子
夫も子供もいるが、生活のために飛田で働く...という子の話も出てきます。
現役を引退すると”呼び込みのおばちゃん”になる人も多いみたいです。
まさに「飛田で生きる人」だと感じました。
現在でも、160軒ほどの料亭が残り、1日に300~400の女の子が働いているそうです。
いろんな意見があって当たり前。私とて、それが正義なのか悪なのか分かりません。
(もしくは、そういったものではないのかも。それも分かりません。)
だけど、そこに生きる女性たちの抱える闇を想像すると、なんとも言えない切なさも感じます。
欲望と欲情、憎悪、哀愁の漂う街 飛田遊郭...(#杉坂圭)