わたし、シーズン2

読書が趣味の40代主婦。きままな読書感想文を中心に日常を綴っています。家族は、夫と娘と元保護犬の愛犬ミィ。

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『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話』小さなほころびから壊れていく家族の様はまるでホラー

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著者の妻がマルチ商法にどっぷりハマり、普通の平和な家族がバラバラになっていく様子に恐怖を感じました。

 

家庭が少しずつ壊れていく様子を書いた前半部分は、まるでホラー。もしも、これが自分の家族の話なら...と考えるだけで吐きそうほどの不安を覚えました。

 

妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話 感想

「マルチ商法」と聞くと、そんなもの自分は絶対に騙されない!と思う人も多いと思います。

 

でも「自然派生活」「食品添加物」「経皮毒」「ワクチンは人体に毒」「幸せに生きるためには」「健康のためにヨガをはじめませんか」などの話なら、興味があって聞いてみたいみたいな人もいるのでは?

 

実は、マルチ商法やや新興宗教の入り口って意外にもこういうところからだったりします。(もちろん全てがそうではありませんが...)

 

健康、現実社会での不安を感じるような話、サイドビジネス・不労収入の魅力...そんなことから、マルチ商法にはまってしまう人は多いのではないかと思います。

 

 

この本では著者自身の経験と、同じような経験をした人の経験談が紹介されています。

 

まず「知る」ということは大事で、相手が大切な人であればあるほど早い段階で軌道修正しないと、周りは苦しむなぁと改めて思いました。

 

...なんて若干他人事のように書きましたが、私自身もマルチ商法やカルト宗教に勧誘された経験があります。(結構そういう人多いんじゃないかな?)

 

20歳の頃、女友達とご飯に行く約束をして待ち合わせ場所に行くと「ご飯の前に一緒についてきて欲しいところがある」と言われて、とあるビルに連れていかれたことがあります。

 

そこには大人が数人いました。「モジコ」というFAX付き電話機を50万で買えば、儲けることが出来る...みたいな話だったと思います。

 

つまるところ、私はネットワークビジネスに勧誘され50万円近いFAXを買わされそうになっていた訳です。

 

私は、何の説明もなくこんなところに突然連れてこられた事で、友人に騙されたような気がして、とにかく腹が立ちました。

 

それに加えて、ハタチそこそこの若者にバカみたいな値段でFAXを売りつけようとしている大人にも腹が立ち、

 

「インターネットが爆発的に普及し始めているこの世の中で、FAXなんかこの先衰退していくに決まってる!こんなもので儲けられるなんてありえない!」

 

と言ってビルを出ました。20年前の自分グッジョブ、と今でも思います。

 

大切な友人だと思っていたのに、騙された気持ちが抜けなくてその友人とはそれ以来疎遠になりました。

 

 

 

その後、結婚して出産した私はよく近所の児童館で子供を遊ばせていました。

 

ある日その児童館でニコニコした感じのいいお母さんに声をかけられ、会えば少し話すようになり...「子供の年も近いし、今度ランチでも行きましょう!」と誘われました。

 

物腰柔らかい人で、子供の年も近かったので快諾。とあるカフェで待ち合わせしてランチを楽しんでいました。

 

するとそこへ「あら~、〇〇さん!」とそのお母さんの知り合いらしきマダムが登場。偶然だからちょっと一緒にお茶でも...と有無を言わさず勝手に席に着きました。

 

もう、その時点で嵌められた!と思いましたが、そんな私をよそに新興宗教の勧誘が始まりました。

 

その時も、騙されたことにめちゃくちゃ腹が立ち「この宗教に入れば幸せになれる」と説くマダムに思わず

 

「私はそんなものに入っていませんが、あなたよりも幸せな自信があります!」

 

と言い席を立ちました。(そのママさんとも2度と会うことはなく、その児童館に行くこともやめました。)

 

 私はマルチ商法や宗教等にまったく興味がなく(むしろそういったものは、物凄く嫌悪感あり)楽して稼げるなんてことも全く信用していないので、勧誘されたことはありますが関わることなく生きてきました。

 

 

 

しかし皆が私のような人間ではなく....実は夫の弟が10年ほど前にこの本の妻と同じ「ア〇ウェイ」にハマり、仕事を辞めてまでア〇ウェイに没頭していたことがあります。

 

とても素直で明るく友達の多い子だったのですが、自分の友人知人に勧めまくった結果、その人たちから距離を置かれ...1人ぼっちになり居づらくなって地元を飛び出しました。(結局「ア〇ウェイ」では儲からないことが分かり数年で辞めたみたいです。)

 

 

そして、その飛び出した先で始めたバイトで出会った女性と結婚したのですが...その女性一家が「某輸血ができない新興宗教」の熱心な信者で、結婚によって夫の弟もどっぷりと。

 

ア〇ウェイも新興宗教も、弟から夫に勧誘があったみたいですが...そういったものが大嫌いな夫は辞めるよう弟に強く説得。

 

しかし全く聞き耳ももたない弟に対して最後は「お前何をしようとお前の人生なので自由。でも、俺はそういったものが大嫌いだから、今後俺に一切の勧誘をしてくるな。実家の親兄弟にも一切の勧誘をするな!」と弟に言って、その後は絶縁状態です。

 

 

結局こういったものにハマってしまう人は「無知」だけではなく、「自己肯定感の低さ」とか「寂しさ」とか「心の隙間」があるのではないかと感じています。

 

もちろん信仰の自由もあり、それぞれの人生ですから...まぁ夫が弟に言った通り自由です。

 

しかし私は、自分の大切な家族にそういったものに絶対かかわってほしくないと思っています。

 

だから自分の子供には、臭いものにフタをせず...隠さずにたくさんのことを教えています。危機管理能力はすぐに身につくものではないと思っているので。

 

 

 

この本で一番胸が痛んだのは、著者の娘さんのこと。

 

Amazonなどのレビューなどでは、著者がもっと子供とかかわって救ってあげるべきだった...みたいな感想もありました。

 

私ももちろんそれがベストだったと思いますが、家庭内のことはそれぞれ。なかなか他人が口出しできることではないのも事実です。(本人の精神状態も大変だっただろうし...)

 

ただ、著者のペンネーム「ズュータン」の由来や、作中に書かれていた娘さんの様子にはとても胸が痛みました。

 

なので、せめて...どうかせめて著者の娘さんが、この先の人生を強く幸せに生きて欲しいと願っています。

 

 

マルチ商法やカルト宗教は一部を除き「違法」や「犯罪」ではないし、家族以外は関わらなければ自分に害がないことがほとんどです。

 

だから、そういう家庭で育つ子供にサポートや助けの手が差し伸べられることは少なく、辛い思いや心に傷を負ってしまうことも多いと思います。

 

こういった問題の最大の被害者は子供だと思います。(#

ュータン)

 

* この本の感想を書きました *

 

『カルト宗教やめました。~「エホバの証人2世」の私が信仰を捨てた後の物語~』自分の人生は自分で取り戻す!そんな作者を応援したくなる1冊

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以前読書感想文を書いた『カルト宗教信じてました。』の続きのコミックエッセイです。

 

 

happybooks.fun

 

カルト宗教やめました。~「エホバの証人2世」の私が信仰を捨てた後の物語~ 感想

エホバを退会した”たもさん一家”のその後と、前作を書くことになった経緯が書かれていました。

 

作者・夫の母親は共に熱心な信者。ゆえに、作者たちが宗教を脱退した現在でも確執があります。

 

母親たちは自身に何かよくない事が起こると、子供たちがエホバから脱退したからだ...と考えたり、子供たちは脱退しているのにエホバの教えと違うことをすれば怒ったり。

 

作者はそんな親たちと上手に付き合えないことを悩んでいるようでしたが、私だったら確実に縁を切る、または完全に疎遠になると思います。

 

でも、そうしないのは2人の優しさなのか...な。

 

 

信仰の自由はもちろん大切だと思います。誰が何を信じたっていい。

 

だけど、それを人に押し付けてはいけないと思うのです。

 

他人であれば、しつこく勧誘されて嫌だったら断ったり、絶縁するなり距離を取ることが出来る。

 

でも子供は、ほとんどの場合親に従うしかないから。

 

だからこそ判断能力のない子供を洗脳し入信させるのは、ある意味虐待ではないかと私は思います。

 

信仰の自由とは、信じる自由でもあるけれど信じない自由でもあるから。

 

 

この著者は4人兄弟なんだけど、信仰させられているのはこの著者1人。

 

「断れなさそう」という理由で、母親に集会などに連れていかれるようになったと書かれていました。

 

なので他の兄弟は信仰とは無関係で自由に育ち、社会にしっかりと溶け込み楽しんでいるようでした。それもまた毒親だなーと思いました。

 

 

なんだかんだと書きましたが、宗教やマルチ商法などの「洗脳」から解放されるには、周りの力は微力で結局、本人が気づくしかないと思います。

 

事実...夫の弟も結婚相手の一族がこのエホバの信者だったため、現在では熱心な信者です。

 

「入信した」と聞いたとき(何の相談もなく事後報告だった)、夫も夫の実家の家族も反対し説得しましたが「理解なんてしてもらわなくてもいい。僕はこの宗教の教えを信じている。」と聞く耳を持ちませんでした。(そんなこともあり、夫は弟と絶縁状態です。)

 

作者のように自分の力で脱退できる人は本当に凄いと思います。

 

私が今まで知らなかっただけで、宗教2世として苦しい思いをしている人は意外にも多いそうです。

 

この経験談が、そういった人たちの生き方のヒントになったらいいなぁ~と思います。(#たもさん)

* この本の感想を書きました *

『水木しげるの戦場』平和な時代に生まれたからこそ...今一度、戦争を考える

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『ゲゲゲの鬼太郎』でおなじみ、水木しげるさんの戦争体験に関するマンガ短編集です。

 

ゲゲゲの鬼太郎はもちろん知っているし、子供の頃にTVで見たこともあります。

 

水木さんが戦地で腕を失ったことも知っていました。

 

だけど、水木さんが戦争に関する本をたくさん出していたのは知りませんでした。 

水木しげるの戦場 感想

巻末の解説に「本書に収められたマンガは水木さんの実体験と、後に読んだ書物の知識、そして水木さん独自の脚色の融合物と解さなければならない」と書かれています。

 

そのことから「書かれているエピソードが全て実体験の事実」という訳ではないと思うのですが...

 

それでも実際に戦地で戦った水木しげるさんだからこそ、書けた漫画だと思いました。

 

軍隊での出来事や戦地での様子、腕を失ったときのことなどが、水木さんらしいタッチで描かれています。(このあたりの事は実体験を描いていると思います。)

 

 

戦争とは、自国も相手国も「自分こそが正義」だと信じ、たくさんの犠牲と命を懸けて戦っているわけですから、「戦争」を歴史教育として教えるのはとても難しいと思います。

 

戦後70年以上経った現在でも、慰安婦問題や歴史教科書の内容、某神社へのお参りなどについて揉めているわけですから。

 

「全員にとっての真実」というのはやはり難しく...どうしても、自分たちの国は間違っていなかったと信じたいから自国目線になってしまいます。

 

そんなこともあり、すっかり平和ボケしている私は、戦争を知ることや語ることは、どこか「めんどくさいこと」だと思ってしまっていたかもしれません。

 

でも、本書を読んで改めて戦争は本当に怖いことだと、もう二度と戦争なんてしてはいけないと、心から思いました。

 

戦争は、人の肉体だけでなく精神や心も殺してしまうから。

 

 

 

私の祖母は大正生まれなのですが(認知症ですが、今も存命)元気な頃はよく戦争の話をしてくれました。

 

祖母は田舎に住んでいたので空襲は免れたのですが、空襲の数日後に勤務先の様子を見るため町へ行くと、そこら中に遺体があり、辺りは独特のにおいがしたこと...

 

広島に落とされた原爆のきのこ雲を見たこと...

 

実際に経験した人からの話は本当にリアルで、恐ろしいものでした。

 

 

今ではもう戦争を経験した人たちが少なくなってしまっています。

 

「真実」を追い求めることだけが「戦争を知る」ということではありません。

 

戦争を経験した人の話に耳を傾け、想いを知ること。

 

そして、戦地で散っていった方たちがもし、自分の大切な人だったら...と思いを馳せること。

 

それも大切な「戦争を知る」ことだと思います。(#水木しげる)

 

* この本の感想を書きました *

『 いとしのギー』元野良で超人見知りなビビリ犬”ギー”は、私の愛犬”ミー”そのものだった

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『 いとしのおかめ』の姉妹作のコミックエッセイです。

 

少しお話がつながっているので『 いとしのおかめ』を読んでから読むのをお勧めします。

 

happybooks.fun

 

いとしのギー 感想

 

先住犬おかめちゃんの妹として、おおが家に引き取られた元野良犬のギー。

 

ただただ、このギーとの日常を描いているだけなんだれど、なぜか泣けるのです。

 

それは著者が犬愛に溢れているのと、愛犬ギーがうちの”ミー”にとても似ているからかもしれません。

 

 

愛犬ミーも、いつもオスに間違えられる女の子。

 

そして同じく超絶ビビリの元野良犬(保護犬)です。

 

ミーも推定1歳の時に、先住犬スニフの妹として我が家にやってきました。

 

もう1匹犬を迎えることを決めた時、私は子犬を引き取ろうと思っていました。

 

そんな気持ちで参加した譲渡会で見つけたのが、存在を消すように...息を殺すようにケージの隅に固まっていたミー。

 

とにかくビビリで、触ろうとするだけで固まってしまい、怯えた目で「お願い私にかまわないで」とでも言うようにこちらをジッと見つめていました。

 

夫はかわいい子犬とキャッキャウフフしていましたが、そんな様子を傍目に私はミーを見つめながら「この子は、成犬だしこの性格だし顔も強面だし...もらわれるのは難しいかもしれないなぁ」と思いました。

 

そんなミーのことが気になって、何度も譲渡会に足を運びました。

 

子犬や小型犬は比較的お声がかかりやすいのだけれど(夫がキャッキャウフフしてた子犬もすぐに里親さんが見つかりました)大きめの中型犬で成犬、超ビビリで愛嬌は一切なしで強面の元野良犬...となるとなかなか難しいようで、何度行ってもミーはそこにいました。

 

 

そして何度も家族会議を重ねた結果、ミーは我が家の一員になりました。

 

「この子は里親さんが見つからないかもしれないから私が」というような気持ちがなかったわけではないのですが、

 

私がミーを選んだのは、なんだか自分と重なる部分があったから。

 

 

当時の私はいろんなことに疲れていて、逃げ出してしまいたいような気持でした。

 

周りの母親のようにキラキラした「ママライフ」を送っているわけでもない。

 

「子供が小さいのに働くなんてかわいそう」

 

「一人っ子なんてかわいそう」

 

そんな周囲の言葉に傷つき、先が見えない仕事に疲れて明日出勤するのさえも嫌。

 

もう全て投げ出してしまいたい...!

 

そんな毎日を送っていた私は、誰にでも愛されるかわいい愛嬌満点の子や、天真爛漫でキラキラ眩しい子犬よりも「あー人間なんて嫌いだ。山に帰りたい。」というような顔をしているミーに惹かれました。

 

 

とはいえ、実際に迎えてみると...想像以上にビビリが凄くて大変でした。

 

ボランティアさんがうちに連れてきてくれた日は、ビビリMAX&パニックのため、玄関で大量のオベンベンさんをお漏らし。

 

そして、用意したケージから2日出てこない。

 

風でカーテンが揺れたり、食器を片付ける時に出るカチャカチャ音でさえパニック。

 

正直、普通に生活できるのか心配しました。

 

でも、長い時間をかけて先輩スニフから本当にたくさんのことを学び、ギーちゃんと同じように少しずつ人間との距離が縮まっていきました。

 

 

スニフは陽気で、いつも一緒にいたい!抱っこしてほしい!遊んでほしい!大好き!と全身で愛を伝えてくれるタイプでした。

 

でもミーは真逆。

 

甘え下手でクール。

 

いつも適度な距離を保って私のことを見ています。

 

だけど、気づけばそっと背中をくっつけて寄り添ってくれています。

 

今でも大きな音や車がとっても苦手、子供も他の犬も苦手。

 

でも私は「それでいいんだ」って思います。

 

そして、そんな姿に何度も励まされ助けられました。

 

別にみんなに好かれなくても、みんなを好きじゃなくても、できないことがあっても...いいんだ!って。

 

犬を愛している人はもちろん、ギーちゃんやミーのような犬と暮らしている人の心に優しく刺さる1冊です。

 

今日も、これを書いている私のことが1番良く見える場所で、ウトウトしている愛犬ミー。

 

私のことが大好きでそこにいる...のではなく、その場所がクーラーの風が1番当たってひんやりして1番気持ちいいからなのは知ってるよ。

 

でも、時々目を開けて私をじっと見てるのも...ちゃーんと知ってるよ。(#おおがきなこ)

 

* この本の感想を書きました *

『 いとしのオカメ』愛し愛された犬と人間の物語

f:id:egaode_kurasu:20210726191337p:plainこの本の主人公「オカメ」はミニチュアダックスフントのおんなのこ。

 

元繁殖犬だったけれど4歳の時に保護されて、おおが家(作者)の家族になりました。そんなオカメの一生を書いたコミックエッセイです。 

 

姉妹作として『 いとしのギー』もあります。

 

 

いとしのオカメ 感想

私がこの本と出会ったのは、愛犬スニフに病気(血管肉腫)が見つかり、残された時間がもうそんなに長くないと分かった時。

 

冒頭から心をつかまれて、読み終わりには珍しく...本当に珍しく声を上げておいおい泣いていた。

 

私の膝の上には死が迫っている愛犬がいて、本の中のオカメは静かに旅立っていく。

 

オカメを見送りながら泣いている作者は、そう遠くない自分の姿だった。

 

 

 

具合の悪い愛犬が食べられるものを必死で探す日々。

 

病気が進行し、もっともっと苦しくなることを想像しながら「逝くのが今日ならいいのに。今日なら苦しくないのに。」と思いながらしんどうそうな愛犬を抱きしめ、

 

「でもやっぱり自分が死ぬ3分前まで生きて欲しい」と願う本の中の作者は、まさに私だった。

 

 

 

人間を含め、生きていればいつか命の終わりがやってくる。

 

ペットと暮らしている以上、その子たちを見送ることは飼い主の役目だということも知っている。

 

それでも...愛するペットとのお別れや、じわりじわりと死期が迫ってくる日々はあまりにも苦しく、言葉にできない痛みを感じる。

 

様々な感情が入り混じって...頭も心も混乱してしまう。

 

そんな私を支えてくれたのは、この本やブログ、そしてSNSにあるたくさんの経験者のお話だった。

 

愛犬の看病をしながら、闘病生活や旅立ちのエピソードを読み漁る。

 

その度に「こんなに辛い経験をしたのは私だけじゃない。こんなにも愛されて旅立ったペットたちは皆、本当に幸せだ!」そう思うだけで、とても慰められ癒された。

 

 

 

この本も決して「悲しいお話」ではない。

 

愛し愛された犬と人間の、素直でまっすぐな記録である。

 

 

 

私も愛犬スニフを見送ってもうすぐ1年が経つ。

 

まだスニフの動画を見ることはできないし、たくさんの後悔もある。

 

思い出して、ふと涙が出てしまうこともある。

 

だけど、最近は心から「ありがとう」と思えるようになった。

 

私と出会ってくれてありがとう。

 

私を愛してくれてありがとう。(#おおがきなこ)

 

* この本の感想を書きました *

 

 

*愛犬スニフの闘病記

 

*愛犬ミィの闘病記

『在宅医たんぽぽ先生物語 さいごはおうちで』自分らしく生きて自分らしく死ぬ...それはとても大切なことかもしれません

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著者は2000年に愛媛県松山市で、在宅医療専門クリニック「ゆうの森」を開業した永井康徳医師です。

 

このクリニックは職員3人、患者ゼロからスタートしました。

 

「理念」「システム」「人財」において、高いレベルを維持することで在宅医療の「質を高めること」を目指し運営し、現在では職員数も約100人となり、多職種のチームで協働して行う在宅医療を主体に入院、外来診療も行っています。

 

本書では、永井医師が実際に看取ってきた患者さんのことや、自分の考える「医療」や「死」について書かれています。

 

コミックエッセイ部分とエッセイ部分があり、コミック部分は登場人物が全員ネコになっています。そのおかげで、難しく重めのテーマなのにほんわりした柔らかい雰囲気になっています。

 

 

私は「家で死にたい」というのは「わがまま」だと思っていました。

 

理由は「家で死にたい」と言った祖母を看るために、母が命をすり減らすような苦労をしていたから。

 

祖母は100歳を超える超高齢者。年齢の割には元気だと人は言うけれど、体は自由が利かなくなり認知症の症状も少しあります。

 

介護ヘルパーさんなどにも助けてもらっていましたが、介護認定というのがまた難しく...介助すればトイレまで行けるとか、家族が同居しているとか(これは関係ないと言われていますが、実際は関係しているのではないかと感じました)で、最初の数年は「要支援」止まりで、介護保険もあまり使えませんでした。

 

認知症で昼と夜が分からなくなった祖母は、夜中だろうが早朝だろうが母を呼び寝不足の日々。

 

仕事と介護を両立していた母は心身ともに疲れ果て、体調を崩し難病を発症。そこでようやく祖母は施設に入所しました。

 

そんな経緯もあり「家で死にたい」と口にすることは、家族に迷惑がかかると私は思っていました。

 

でも、この本を読んで少し気持ちが変わった...というか「こんな医療チームが近くにいてくれたら、在宅看護する人はどんなに救われて心強いだろう」と思いました。

 

患者さんを「世話をする人・される人」ではなく、いつかは自分も通る道を先に行く「人生の先輩」という気持ちでかかわっている、という部分を読んで自分もそんな風に接してもらえたら凄く嬉しいだろうなぁと。

 

そして何よりも永井先生の「死に方」への考え方が私はとても好きでした。

 

「枯れるように死ぬ」とはまさに私の理想です。

 

もう自分の命がそう長くない時や、治る見込みが全くない場合は、体に負担をかける点滴や治療はしたくない。それで少し寿命が延びるとしても。

 

とにかく痛みや苦痛をできるだけとってもらって楽に逝きたい...私はずっとそう思っているし、家族にも伝えています。

 

 

医療が発展し、平均寿命も延び続けているこの超高齢化社会の中で、医療も私たちも「生きる」ということだけを考え、「死ぬ」ということをあまり考えていない気がします。

 

生きていれば必ずやってくる「死」。

 

もっと一人一人が自分事として考えなければいけなくて、そしてそれを家族で共有するってとっても大切だと思います。

 

自分に何かあった時に、自分の「死に方」を家族に選択させるのはとても酷なことだから。

 

 

どんな生き方、死に方を選ぶのも自由。永井先生の考え方や私の考え方が正しいわけでもありません。正解なんてありません。

 

ただ、自分の人生の終わりが近づいたときにどう生きて、どう死んでいくかを自分で考えることがとても大切だと思います。

 

たくさんの人に読んでもらい、改めて自分や家族の「死」を考え「人生会議」をするきっかけになるといいなぁと思いました。(#永井康徳)

 

* この本の感想を書きました *

『痛い靴のはき方』かけがえのない日常をつぶさに掬い取るエッセイ集

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益田ミリさんのエッセイ集です。2018年出版なのですが、たくさんの旅行記が書かれていて、少し前まではみんな思い思いに旅行に行き、それぞれの人生を楽しんでいたんだな...と改めて思いました。

 

おかげで読んでいる間、なんだか自分がいろんなところに旅行しているような気分にもなりました。

 

私は、天気が良かったり、おいしいものを食べたり、いい映画を見たりするだけで「あぁ...幸せだなぁ~」と心底思えるタイプなのですが、ミリさんも同じなのではないかなと思っています。

 

なので読んでいてなんとなく心地いい。

 

んでもって、時々ふと何気ない日常や出来事に切なさを感じる瞬間を上手に言葉にしていて、それにもとても共感したりするのでした。

 

 

何より私はこの本の「痛い靴のはき方」というタイトルに猛烈に惹かれてこの本を購入しました。

 

私は昔から靴が大好きなのですが、ヒールのある靴はほぼ全て足が痛くなります。

 

それでも若い頃はとにかく素敵な靴を履きたくて、足が痛くても靴擦れが出来ようとも、お気に入りのヒールを履いていました。

 

しかし最近は...どんなに素敵でも、履いていて足が痛くなる靴は履かなくなりました。

とにかく足に優しく、グングン歩けるスニーカー最高主義。

 

タイトルを見つめながらそんなことを考えていると「あぁ...人生は痛い靴の履き方探しに似ているのかもしれない」と、ふと思ったのでした。

 

 

若い頃は夢や理想に溢れていて、多少自分を犠牲にしても自分の思い描く人生を歩もうと頑張る。

 

まさに「痛い靴のはき方」を探しながら。

 

でも人生の後半に入ると、たくさんの経験を積み挫折も味わったりして...痛い靴は脱いで自分の足に合った靴を履きたくなります。

 

多少その靴が、自分の理想の形ではなかったとしても。

 

長い間痛い靴を履いていたから、少し形が変わってしまった自分の足を見て...なんだか愛おしく、少し誇らしく思ったりするのでした。

 

 

ミリさんは中学生の頃「私は先生たちのことが本当にかわいそうだった。もう未来の国に来てしまっている悲しい人たち。未来がないってどんな気持ちなんだろう?なんの楽しみもない。」と思います。

 

でも自身も40代後半になり、月に一度のオイルマッサージをいつも心待ちにしていることに気づき、「未来と言うのは「遠く」とは限らず、1か月後も未来なのであるぞ!と、あの当時の私に言ってやりたい。」と思うのでありました。

 

それを読んだ私は、頭をゴツンとされたような感覚でした。

 

いくつになっても未来を楽しみにしていい。

 

一か月後だって、明日だって私の「未来」なんだと思うと...なんだかそれだけでワクワクが湧いてきました。

 

 

痛い靴を脱いだ私の人生第2章。

皮が厚くなり少しいびつになったこの足で、時々また痛い靴を履きながら...小さな楽しみをたくさん見つけて歩いていきたいなぁと思うのです。(#益田ミリ)

 

* この本の感想を書きました *

『眠れないほどおもしろいやばい文豪』知れば知るほどヤベェ天才たち!

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総勢36人の「文豪」と呼ばれる人たちのヤバイ一面を教えてくれます。

 

登場してくる人物を全員知っていたわけではありませんが、文豪同士の関係性なども書かれていて興味深く読めました。

 

 

現在とは時代背景が異なるとはいえ...なかなかのエピソード満載。

 

目立つのは、不倫・薬物中毒・自殺 (心中)・神経衰弱...今だったらすぐに文春砲をくらって、SNSで血祭にされて大炎上な案件多数。

 

ただ...実はわたしは心のどこかで、何かを生み出すような人は「普通の人」であってほしくないと思っているところがあります。

 

クズであってほしいとか、スキャンダラスであってほしいということではなく...

 

めちゃくちゃ乱暴で失礼な言い方をすれば「社会不適合者」や「変態」であってほしい。(決して「反社会的な人間とか」「性的に変態」であってほしいということではないですよ。)

 

だからこの本に出てくる文豪たちは、ヤバイんだけど清々しいというか...これでこそ!と私は思ってしまいました。(周りの人たちは本当に大変だっただろうけど...ね。)

 

弱さを認めたり、多様性を尊重しようとする反面、「聖人君子でなければいけない、人生で1つの過ちも許さない。」そんな昨今の風潮が少し息苦しく感じていた中で、文豪たちの破天荒さになんだか救われた気がしました。

 

自分の欲望にまっすぐで、どこか危うくて脆い文豪たちが身を削りながら書いた名作を、改めて読みたいと思わせてくれる1冊です。(#板野博行)

 

* この本の感想を書きました *

『殺した夫が帰ってきました』夫がいるすべての人がタイトル買いしたくなる!?読後少し切ないミステリー

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夫を殺したいと思ったことはありますか?

 

ちなみに私は...もちろんありませんw

 

しかし、完全なタイトル買いです。

 

夫と一緒に本屋さんへ行った時に買いました。うふふ。

殺した夫が帰ってきました 感想 

暴力的だった夫をつい殺してしまった...。

 

そして5年後、その殺したはずの夫が記憶をなくして帰ってきた。

 

あんなに暴力的だったはずの夫はとても穏やかで、幸せな結婚生活とはこういうものかもしれない...と思いながら平穏な日々が過ぎていく...。

 

いやー、一気読み!

 

初読みの作家さんだったのですが面白かったです。

 

こういう作品は、こちらも伏線に気を付けながら読むのですが全く気付かず、最後に一気に伏線回収!という感じでした。

 

主人公のマナは一生懸命生きていて、どうかこのまま穏やかに過ごさせておくれ...と思いながら読んでいたのですが、

 

淡々と進みながらもジリジリと追い詰められていく様が少し苦しかったです。

 

何を書いてもネタバレになりそうでなかなか難しいけれど、読後はとても良くて希望が残されている終わり方でした。

 

帯に書かれてある「やっと手にした理想の生活だったのに...」という言葉が、読む前と読んだ後ではガラッと変わる1冊でした。(#桜井美奈)

 

* この本の感想を書きました *

『さよならの合図 ペットロスから再び笑顔を取り戻すまでの90日間』愛するあの子とのお別れを受け入れるということ

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図書館で、ふと目についたので借りて帰りました。

 

でも....私は2020年夏に愛犬スニフを亡くして以来、ペットとお別れするテレビや本を見ると泣いてしまうので、開なかなか読めず...

 

一度延長してやっと読みました。 

さよならの合図 ペットロスから再び笑顔を取り戻すまでの90日間 感想

 著者が15歳の愛犬エルザを亡くし、泣いて暮らす日々から立ち直っていく物語です。(コミックエッセイなので、あっという間に読めます。)

 

きっと、犬と暮らしお別れを経験した人なら共感できることばかり。

 

私も家族が寝てから一人、ボロボロ泣きながら読みました。

 

 

スニフがいなくなっても、私の日常は今まで通り繰り返されています。

 

普段は「スニフがいない」ということを、あまり意識しないように生活していますが、ペットの死に触れた本やTVを見ると、途端にたくさんの感情が溢れます。

 

頭では「命あるものはいつか死ぬ」とどんなに分かっていても、自分が大切な存在の死に触れたとき、なかなか受け入れることができないのかもしれません。

 

愛犬スニフは11歳で旅立ったので、11年間のたくさんの楽しい思い出があります。

 

でも、思い出すのは血管肉腫の闘病をした3か月間のことと、最後のお別れの場面ばかり。

 

大きな伸びをして、そのあと魂を吐き出すようにして旅立った姿が忘れられません。

 

楽しかったこと、嬉しかったこと...たくさんあるのに、どうしてもスニフを想う時はいつも、後悔や心残りばかりです。

 

私はお別れから半年経った現在も、スマホに入ったたくさんのスニフの写真や動画を見ることが出来ずにいます。

 

 

作中に「愛犬の火葬の際、同じようにペットを亡くし、火葬の順番を待っている人たちを仲間のように感じた」と書いているのですが、これは私も全く一緒でした。

 

私もスニフの火葬を待っているときに、同じように泣きながらお別れをしている人たちを見て

 

「今この瞬間、こんな苦しい思いをしている人は、私のほかにもいるんだ」

 

と思い...仲間のように感じてなんだか心強く感じました。

 

「こんなにつらく悲しいのは、自分だけじゃない」と分かるだけで、人はとても慰められるような気がします。(#松田朋子)

 

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